概要
萬翠楼福住は箱根湯本の早川沿いにあり、箱根湯本駅から徒歩約7〜8分の場所に位置しています。温泉街の商店やカフェ、電車、バスにも近く便利でありながら、一歩館内に入ると、川辺の庭園と歴史ある意匠が静かなひとときを演出します。
1625年創業の萬翠楼福住は、約400年にわたる温泉の歴史を受け継ぐ老舗旅館です。明治期に建てられた萬翠楼棟と金泉楼棟は、日本の数寄屋造りに19世紀後半の西洋的な意匠を取り入れた独自の建築が魅力です。2002年には、これらの建物が営業中の旅館建築として日本で初めて国の重要文化財に指定されました。
館内を巡ると、手仕事で仕上げられた木の細工、意匠の異なる障子の組子、自然の丸太柱に合わせて曲線を描く建具など、職人の技が随所に息づいています。また、歌川広重、福沢諭吉、木戸孝允、伊藤博文、皇族の方々をはじめ、多くの歴史的人物とのゆかりも、この宿の魅力のひとつです。
客室は全15室の和室のみ。建築美、季節の料理、そして自家管理の源泉を身近に感じられる、特別感のある滞在が叶います。お部屋タイプによって過ごし方は異なり、歴史ある一部客室には専用風呂がない一方、金泉楼棟と昭和棟には温泉を引いた檜の内風呂を備えた客室もあります。
客室
すべての客室は、畳敷き、座卓、障子、布団を備えた和室です。客室は、国の重要文化財である萬翠楼棟・金泉楼棟と、後年に増築された昭和棟の3つのエリアに分かれています。それぞれに異なる趣があり、上階の一部客室へは階段での移動が必要です。
萬翠楼棟は1878年築。25号室は約30畳におよぶ4間続きの和室で、季節の木々と川を望む広い縁側が付いています。この客室をご予約の場合、朝食・夕食は専用の個室食事処でご用意します。35号室は3階にあり、10畳と8畳の2間で構成された、明るくゆとりある間取りです。いずれの客室にも専用風呂はなく、共用の内湯・露天風呂をご利用いただきます。
15号室は、館内でも特に貴重な歴史的空間のひとつです。4間続きの造りに加え、肉筆の掛け軸や、江戸・明治期の絵師による48枚の天井画が残されています。文化的価値を保護するため、現在は宿泊利用を行っていません。
金泉楼棟は1877年築で、温泉を引いた檜の内風呂を備えています。10号室と20号室は、8畳2間に縁側と、やや広めの専用檜風呂を備えた客室です。30号室は10畳と8畳の2間で、2階の玄関から3階の客室へ続く専用階段がある、個性的な造りとなっています。
12号室は8畳と7.5畳の2間に縁側付き。22号室は8畳・6畳・5.5畳の3間続きで、川や周囲の木々を望めます。ゆとりある居住空間や、気兼ねなく入浴できる専用風呂を重視する方におすすめです。
昭和棟では、楓・松・桜の各客室に10畳の和室、広い縁側、川の眺め、そして温泉を引いた檜風呂を備えています。桂は中央で仕切られた8畳2間の造りで、くつろぐ空間と寝室を分けて使えます。花は10畳と6畳の2間に縁側と専用の檜風呂を備えた客室です。
客室には、洗面台、温水洗浄機能付きトイレ、テレビ、冷蔵庫、金庫、お茶セット、浴衣、タオル、アメニティをご用意しています。全室禁煙です。伝統的な間取りや歴史的意匠を大切にしているため、標準化されたホテルのデザインよりも、職人技や空間の広がり、趣を感じる滞在が魅力です。
お食事
お食事は、手作りにこだわった和食と、季節ごとに選び抜かれた食材が中心です。夕食では、丁寧に仕立てられた数々の品を伝統的な会席料理としてご用意し、味わい、食感、温度、盛り付けの移ろいを一品ごとにお楽しみいただけます。献立は、その時季に出回る食材に合わせて変わります。
萬翠楼福住では、夕食・朝食ともにお部屋または個室食事処でご提供します。場所は客室タイプ、ご利用人数、当日のご案内内容によって異なります。他のお客様と同じ広いレストランを共有することなく、落ち着いてお召し上がりいただけます。
夕食は夜の2部制のいずれかのお時間から始まります。朝食は複数の時間帯からお選びいただけ、和朝食としてご飯、汁物、焼き物や煮物、小鉢などをご用意します。ゆったりとした流れのなかで食事を楽しんだ後は、お部屋でくつろいだり、箱根観光へお出かけいただけます。
この宿でのお食事は、旅館の歴史ある趣をより深く感じさせてくれます。季節の料理、和の器、畳のお部屋、そして丁寧な個別対応が一体となり、単なるホテルのレストラン利用ではない、旅館滞在の一部としての食体験を形づくっています。
温泉・癒やし
萬翠楼福住では、自家管理の自然湧出源泉「湯本温泉第3号泉」を有しています。この源泉は明治時代に横穴式で開発され、坑道の約20メートル先から自然に湧き出しています。湧出量が少ない時でも、毎分100リットル以上を保っています。
無色透明の湯は、アルカリ性単純温泉に分類されます。バランスのよい成分とやわらかな肌あたりから、「絹のやわらかさに包まれるような湯」とも表現されています。昔から、筋肉の疲れ、関節の違和感、冷え性、疲労、打ち身、病後の回復などによいとされています。
共用の湯処は「一圓の湯」と「扇の湯」の2か所です。どちらにも内湯と露天風呂があり、いずれも源泉かけ流しでお楽しみいただけます。一圓の湯は二宮尊徳にゆかりのある報徳思想にちなむ名を持ち、新しく整えられた岩造りの露天風呂を備えています。扇の湯には扇形の内湯と専用の露天風呂があります。
男女の浴場は夜と翌朝に入れ替わるため、宿泊中に両方の趣をお楽しみいただけます。浴場は午後から翌朝までご利用可能で、入れ替え時間と毎日の清掃時間のみ一時的に閉まります。
金泉楼棟と昭和棟の客室風呂にも、同じ源泉の湯を使用しています。これらの客室風呂は常時かけ流しではなく、ご入浴の際に蛇口から温泉を張ってご利用いただく方式です。プライベートな空間で、時間や湯温をお好みに合わせて調整できます。
別途予約制の貸切風呂はありません。プライベートに温泉を楽しみたい場合は、客室内に檜風呂を備えた金泉楼棟または昭和棟のお部屋をお選びください。
タトゥーのあるお客様へ
タトゥーのある方は、共用の内湯および露天風呂をご利用いただけません。専用の檜風呂付き客室をご予約の場合は、お部屋内の温泉風呂をご利用いただけます。
プライベート入浴をご希望の場合は、金泉楼棟または昭和棟の客室をお選びください。萬翠楼棟の25号室と35号室には客室内風呂はありません。
館内施設
萬翠楼福住には、1階ロビー、書籍や箱根観光案内を備えた読書コーナー、ロビーのWi-Fiエリア、個室食事処、共用の内湯・露天風呂、そして萬翠楼棟・金泉楼棟の前に広がる川辺の庭園があります。庭園は四季折々の彩りを添え、特に秋の紅葉は見事です。
お車でお越しの場合は駐車場をご利用いただけます。全室禁煙で、喫煙は指定の場所に限られます。歴史ある建物に客室が分かれて配置されているため、一部の客室へは階段移動が必要で、足元に不安のある方には不向きな場合があります。
楽しみ方
館内にいるだけでも、建築の見どころを存分に楽しめます。障子の意匠の違い、自然木の柱、装飾的な欄間、巧みに隠された収納、そして明治期の建物を歴史的に価値あるものとしている和洋折衷のデザインなど、細部に目を向けてみてください。
外に出れば、早川沿いの散策や箱根湯本駅周辺の街歩きも楽しめます。温泉街には、地元の和菓子、かまぼこ、寄木細工、カフェ、飲食店、箱根や近隣の小田原の名産品を扱う小さなお店が並びます。
箱根湯本駅からは、箱根登山電車や、宮ノ下、彫刻の森美術館、強羅、大涌谷、芦ノ湖、箱根神社方面へ向かうバスを利用できます。観光を終えた後は徒歩で宿に戻り、浴衣に着替えて、夕食前にもうひと風呂楽しむのもおすすめです。
滞在の大半を館内でゆっくり過ごすのもよいでしょう。個室でのお食事、川辺で過ごす時間、何度も楽しむ温泉、そして畳のお部屋で迎える夜が、観光を詰め込まなくても満ち足りた旅館時間を演出してくれます。
その他のご案内
チェックインは15:00から、チェックアウトは11:00までです。箱根湯本駅からは徒歩約7〜8分です。現在、旅館による駅送迎は行っていないため、お荷物が多い場合は徒歩または地元のタクシー利用が便利です。
萬翠楼福住は、本格的な日本建築、落ち着いたお食事、畳のお部屋、自家管理源泉の天然温泉を重視する方におすすめの宿です。国の重要文化財の棟に泊まるか、専用の檜風呂付き客室を選ぶかによって、建物の歴史をより深く味わう滞在にも、入浴のプライベート感を重視した滞在にもアレンジできます。














