概要
嵐渓荘(正式名称:妙泉和楽 嵐渓荘)は、新潟県三条市の静かな山あいにある越後長野温泉で、守門川のほとりに佇む一軒宿です。周囲には森や清流、季節の花々、そして冬には深い雪景色が広がり、素朴で伝統的、土地に根ざした趣を感じられます。
嵐渓荘の始まりは約100年前。創業者・大竹八十吉が2年かけて手掘りで井戸を掘ったところ、石油ではなく、塩分を含む冷たい鉱泉が湧き出ました。ミネラル分に富んだこの湯は宿の中心となり、かつては療養の湯として親しまれ、薬として販売されていたこともありました。
嵐渓荘は日本秘湯を守る会に加盟しており、館内には国登録有形文化財の木造建築「緑風館」もあります。力強い食塩泉、川を望む景色、手づくりの山里料理、趣ある木造建築、そして川音に身をゆだねるゆったりとした時間。ここでは、里山ならではの本格的な温泉旅館滞在が楽しめます。
客室
嵐渓荘の客室は、「緑風館」「渓流館」「翠悠館」の3棟に全17室。それぞれに異なる魅力があり、選ぶお部屋によって滞在の雰囲気も変わります。
緑風館は歴史ある木造の本館で、2012年に国登録有形文化財となりました。もとは昭和初期に燕駅近くで「小川屋旅館」として建てられ、1955年に嵐渓荘へ移築された建物です。客室は2階と3階に5室あり、それぞれ間取りや意匠が異なります。客室内にトイレのあるお部屋もあれば、同じ階の共用トイレ・洗面所をご利用いただくお部屋もあります。なお、緑風館は古い木造建築のため、隣室の音が伝わりやすい場合があります。
渓流館は川沿いに建ち、広い窓から渓谷の景色を楽しめる客室が魅力です。2階の客室は10畳、3階の客室は10畳に加え、テーブルと椅子を備えた縁側風のスペースがあります。これらのお部屋にはユニットバスとトイレが付いています。2階の広めのお部屋「石楠花」は20畳で、専用トイレは客室の向かい側にあります。また、渓流館の客室には、館内で使われている山の湧水「真木の清水」を利用できる水屋スペースも備えています。
翠悠館は2022年に、山の湯近くの山側にある平屋建てとしてリニューアルオープンしました。畳敷きにベッドを組み合わせた客室で、布団で寝るのが難しい方にも利用しやすくなっています。テラス、デスク、Wi-Fi、有線LANを備えており、長期滞在や静かなワーケーションにも適しています。「花筏」は12.5畳にベッド2台、「瑞樹」は20畳にベッド2台を備え、必要に応じて追加の寝具も利用可能です。客室デザインには燕三条地域の工芸の趣も取り入れられています。
お子様用浴衣やベビーラックは、必要に応じて用意可能です。和室では、お部屋や利用人数によっては、床でお休みになるのが難しい方向けに簡易ベッドを貸し出せる場合もあります。
お食事
嵐渓荘のお食事は、新潟の山・川・田畑の恵みを映したものです。館内では水道水を使わず、敷地内を流れる天然湧水「真木の清水」を調理に使用。汁物やご飯、豆腐、煮物に、澄んだやさしい味わいをもたらしています。
夕食の中心は、旬の食材で仕立てる山里会席。山菜やご飯、地元野菜、川魚、清流で育った鯉のあらいなど、周囲の里山を感じられる料理が並びます。過度に形式ばらず、丁寧で土地に根ざした味わいが魅力です。
季節ごとのコースでは、より強く旬を感じられます。春は山菜、夏は鮎、秋は松茸、冬は鍋料理が主役。量より質を重視したい方に向けて、厳選食材を楽しめるプランが用意されることもあります。
朝食は嵐渓荘を代表する楽しみのひとつです。宿自慢のミネラル豊富な源泉水で炊く温泉粥は、昆布だしのような自然な旨みがあり、濃い味付けを必要としません。味噌漬け鮭、手づくりのおぼろ豆腐、山菜、小鉢、サラダ、自家製ヨーグルトなどが添えられることもあります。
お食事は通常、グループごとの個室食事処で提供されます。移動が難しい場合や赤ちゃん連れの場合には、事前相談によりお部屋食に対応できることもあります。
温泉・癒やし
嵐渓荘の源泉は、ナトリウム-塩化物冷鉱泉です。高張性・中性で、源泉は自然のままでは冷たいため、入浴しやすい温度に加温されています。見た目は無色透明ですが、1kgあたり15,670mgという非常に高い溶存物質を含み、療養泉に分類されます。
お湯はなめらかで、肌にややまとわりつくような感触があります。塩味も非常に強く、宿では昆布茶のような味わいにたとえています。昔から、切り傷、やけど、冷え性、神経痛、肩こり、疲労回復、病後回復などによいとされてきました。湯上がり後も温かさが続きやすく、雪深い新潟の冬には特に心地よく感じられます。
大浴場は男女別で、清掃時間を除き、日中のほとんどの時間に利用できます。各浴場にはアメニティが用意されており、女湯にはベビーベッドも備えています。
少し高台にある「山の湯」には、「石湯」と「深湯」の2つの湯船があります。日中は日帰り入浴向けに男女別で運用され、夕方以降は宿泊者専用の貸切風呂として利用できます。石湯には五十嵐川の石が使われ、湯船の中から川音を楽しめます。深湯はおよそ130センチの深さがあり、浮遊感を味わいながら湯に浸かれます。
山の湯の貸切利用は、到着後に夜の予約時間帯について案内があります。夜遅くから朝にかけては、空いていれば内側から施錠して貸切で利用できます。より多くの方が楽しめるよう、1回ごとの利用時間には制限があります。
山の湯の入浴後は、湯上がり処でひと休みできます。本や音楽、マッサージチェア、お茶、庭の眺めが、火照った体をゆっくりと落ち着かせてくれます。
タトゥーのある方へ
タトゥーのある方も、貸切の山の湯をご利用いただけます。夕方以降は石湯・深湯を宿泊者向けの貸切風呂として利用できるため、共用の大浴場に入らずに温泉を楽しめます。
館内施設
嵐渓荘には、歴史ある緑風館の玄関・フロント、売店、ラウンジ「ひめさゆり」、宴会場・会議室、大浴場、貸切風呂の山の湯、湯上がり処があります。ラウンジは庭とともに新しく整えられ、コーヒーやドリンク、本、真空管オーディオの音楽、外の景色を楽しめる空間です。囲炉裏のそばでは、塩味のある源泉をほうじ茶で割った飲み物も味わえます。
宴会・会議スペースには、「鷹城」「鞍掛」「守門の間」などがあります。食事、会議、グループ滞在、お祝い、研修旅行など幅広く利用可能です。鞍掛は通常の宿泊時には個室食事処としても使われ、日中はワークルームとして利用できる場合もあります。必要に応じて、プロジェクターやスクリーンなどの会議備品も手配可能です。
館内ではWi-Fiを利用でき、翠悠館の客室には有線LANも備わっています。車椅子の貸し出しがあり、渓流館ではエレベーターも利用できますが、駐車場や玄関からの動線には石畳や段差、高低差があります。なお、ペットは館内に入れません。
アクティビティ
嵐渓荘では、慌ただしい予定を立てなくても、自然豊かな環境そのものを楽しめます。前庭は川沿いに広がり、四季ごとに表情を変えます。春には山野草や希少なヒメサユリが見られることがあり、初夏には水路近くでホタルが舞うことも。夏は守門川の浅瀬で水遊びができ、秋には花々や紅葉が彩りを添えます。2月には、雪の状況が整えば雪灯籠が灯されます。
宿の周辺では、川遊び、サイクリング、五十嵐川でのラフティング、守門川・五十嵐川水系での釣り、近隣の低山ハイキング、晩冬の袴腰山周辺でのスノーシューイベントなども楽しめます。なお、卓球は屋外小屋が大雪で損傷したため現在は利用できず、修繕が予定されています。
嵐渓荘はワーケーション滞在にも対応しています。客室、ラウンジ、庭の一部、個室ワークルームなどで仕事ができ、小グループ向けの会議スペースも利用可能です。少し足を延ばせば燕三条エリアがあり、金物文化に根ざした工芸や工場見学、地場産業の体験も楽しめます。
気軽な観光なら「道の駅 漢学の里しただ」が近く、燕三条エリアでは工房見学や地元グルメ、伝統工芸にも触れられます。周囲の里山風景が広がるため、賑やかさよりも、ゆったりとした土地の空気を感じる旅になります。
その他の特徴
チェックインは15:00から、チェックアウトは10:00までです。次の予約状況によっては、レイトチェックアウトに対応できる場合もあります。東京からは上越新幹線で燕三条駅まで行き、そこから車または事前予約制の送迎でアクセスできます。旅館と燕三条駅・東三条駅を結ぶ予約制の乗合送迎もあります。タクシー利用の場合、燕三条駅から約45分、東三条駅から約35分です。
嵐渓荘は、整ったリゾートではなく、個性ある山の温泉旅館に泊まりたい方にぴったりです。文化財の建物に泊まる、川を望む客室を選ぶ、新しい畳+ベッドの部屋でくつろぐ――そんな滞在の中で、力強い食塩泉に浸かり、地元の山里料理を味わい、外を流れる川の音に耳を傾けるひとときを過ごせます。

















