概要
泡の湯は、中部山岳国立公園の奥深くにある白骨温泉、標高約1,500メートルの地に佇んでいます。松本の街並みを離れて車を走らせると、森に包まれた山あいの谷へと入っていき、湧水のせせらぎや四季折々に移ろう風景が、滞在の時間をゆったりと彩ります。
泡の湯は1912年の創業以来、多くの旅人を迎えてきた伝統ある山の湯宿です。洗練されたリゾートというよりも、歴史を感じる調度品、季節の花々、畳敷きの客室、静かな廊下、そして白骨温泉でもひときわ個性的な自家源泉を直接引いた湯船が、この宿ならではの趣を醸し出しています。
なかでも体験の中心となるのが、大きな乳白色の露天風呂です。芽吹きの春、深緑の夏、紅葉の秋、雪舞う冬と、四季の自然に包まれながら湯に浸かれます。湯浴みの合間には、丁寧に仕立てられた和食を味わい、日常を離れた静かなひとときをお過ごしいただけます。
客室
客室は、新館と本館からお選びいただけます。それぞれに異なる魅力があり、専用の入浴設備を備えた広々とした和室から、昔ながらの山の湯宿の趣を残す懐かしい雰囲気の畳のお部屋まで、泡の湯らしい滞在をお楽しみいただけます。
新館3階の「琥珀」は、12畳の和室に洋間と窓辺の広縁を備えた客室です。「みどり」も12畳の主室に加え、続きの和室とゆったりした広縁があります。いずれも入浴後にゆったりくつろげる、広めの間取りです。「もえぎ」は窓辺の広縁付きの10畳和室で、新館のスタンダードタイプにあたります。
「もえぎベッドルーム」もお選びいただけます。和室の趣はそのままに、布団ではなくベッドを備えた客室です。エレベーターにも近く、お部屋から食事処や温泉への移動がしやすいのも魅力です。
新館の客室には、専用バスルームと洗浄機能付きトイレを完備しています。さらに、エアコン、Wi-Fi、テレビ、電話、冷蔵庫、電気ケトル、お茶セット、ヘアドライヤー、タオル、浴衣、スリッパ、入浴用アメニティも備わっています。3階のお部屋にご宿泊の場合は、ワンランク上のアメニティと無料ドリンクコーナーもご利用いただけます。
本館では、よりノスタルジックな滞在を楽しめます。この棟で最も広い「和楽」は、二間続きの和室と縁側を備えています。「楽」は8畳と縁側付き、「あわ」はコンパクトな6畳のお部屋です。「こなし」は畳の居間とベッドルームが分かれており、布団ではなくベッドで休みたい方にも快適です。
本館の客室には専用バスルームはなく、洗面や入浴設備は共用となります。その魅力は、伝統的な間取りや木の意匠、畳敷きの空間、そして昔ながらの温泉宿らしい雰囲気を身近に感じられることにあります。
食事
夕食は、日本の町家を思わせる個室の食事処でお召し上がりいただきます。お部屋の広さもさまざまで、周囲を気にせず落ち着いた空間のなか、一品一品をゆっくり味わえます。
メインの「信濃会席」は全14品。食前酒から始まり、季節の果物やさっぱりとしたデザートで締めくくられます。信州の山の恵みと吟味された海の幸を組み合わせ、やさしい京風の味付けで季節感を大切に仕上げた会席料理です。
献立には、山菜、お造り、椀物、焼き物、煮物、ご飯もの、そして繊細に盛り付けられた小鉢などが並びます。名物のひとつは、骨までやわらかくなるまでじっくり焼き上げた川魚料理。主菜のお肉は、霜降りの黒毛和牛またはもち豚からお選びいただけます。
料理は盛り付けも大切な魅力です。季節を映す彩り、器選び、細やかな配置によって、味わう前にまず目でもお楽しみいただけます。
朝食では、泡の湯を代表する名物料理のひとつ「温泉粥」をご用意しています。泡の湯の源泉水で約1時間かけてじっくり炊き上げたお粥です。源泉水はそのままだと独特の酸味がありますが、炊き上げることでやさしくほっとする味わいに変わります。温かくなめらかな口当たりは、朝風呂のあとに特にうれしい一品です。
温泉と癒やし
湯浴みは、「新泡の湯源泉」から始まります。カルシウム、マグネシウム、炭酸水素塩、天然の二酸化炭素を含む、希少な硫黄泉です。湧出時は約37℃の無色透明なお湯ですが、空気に触れることで少しずつ表情が変わっていきます。気温や湿度、光の加減、触れている時間によって、乳白色や淡い青色、あるいは深いコバルト色に見えることもあります。
湧出量は毎分約1,730リットル。もともと温度が低めのため、溶け込んだ二酸化炭素が保たれやすく、湯に浸かると肌に細かな泡がつきます。やさしい湯当たりで長湯もしやすく、炭酸泉ならではの温まりが湯上がり後まで続きます。
泡の湯を象徴するのが、大きな混浴露天風呂です。約70坪の広さを誇り、周囲の木々や山々を眺めながら、開放的な空の下で湯浴みを楽しめます。定期清掃の時間を除き夜通し利用できるため、早朝や夕食後、あるいは星空の下など、時間を変えて異なる雰囲気を味わえます。
男女それぞれ別の脱衣所から入ります。女性は混浴用に用意された厚手の湯あみ着(バスタオル)を着用して入浴できます。脱衣所から湯船へは専用の動線が設けられており、体を湯に沈めたまま入れるよう配慮されています。また、白く濁った湯のため、入浴中の視界もある程度やわらぎます。
このほか、男女別の浴場もご利用いただけます。趣ある木造の内湯には、約37℃のぬるめの湯船と、約40℃のあたたかめの湯船があります。あたたかい方の湯は、加水せず熱交換システムで温められています。寒い日には、まず熱めの内湯でしっかり温まってから露天へ向かうのもおすすめです。
男女別の浴場には、それぞれ露天風呂も備わっています。源泉温度が低いため、一部の湯船では加温または部分的な加温が行われていますが、湯量は豊富に保たれています。
入浴により期待される適応症としては、疲労回復、冷え性、筋肉や関節の不快感、こわばり、打ち身、ねんざ、慢性的な消化器の不調、そして一部の皮膚症状などが挙げられます。含まれる成分により、金・銀・プラチナなどの金属が変色することがあるため、入浴前にはアクセサリーを外してください。
タトゥーのあるお客様へ
泡の湯の共用温泉では、タトゥーを露出したままでのご利用はできません。適切な防水カバーシールでタトゥー全体を完全に隠し、ほかのお客様へのご配慮をいただける場合に限りご入浴いただけます。
すべての温泉施設は貸切風呂ではなく共用です。タトゥーを完全に覆えない場合は、混浴露天風呂、男女別内湯、男女別露天風呂のいずれもご利用いただけません。
館内設備
館内には、歴史を感じる調度品や季節の花々、小さな装飾の数々が配され、泡の湯の長い歩みを感じさせます。繊細なガラス細工のコレクションがあたたかな個性を添え、一部の客室には手書きの日記帳も用意されており、滞在の思い出を綴ることができます。
お食事処のフロアには和風の個室食事処が並び、朝食・夕食ともによりプライベートな空間でお楽しみいただけます。部屋の広さも異なるため、ご夫婦からグループ旅行まで、大きなレストランとは異なる落ち着いた雰囲気のなかでゆったり食事ができます。
フロント近くの売店では、泡の湯オリジナルの商品や地域の特産品をご覧いただけます。お部屋のお茶請けとして出されるくるみのお菓子や、宿らしい手ぬぐいなど、白骨温泉でのひとときを持ち帰るお土産選びも楽しめます。
客室ではWi-Fiをご利用いただけます。また、新館の客室フロアへはエレベーターで移動しやすくなっています。混浴露天風呂、男女別内湯、男女別露天風呂、脱衣所、そして湯浴みの合間にひと息つけるスペースもご利用いただけます。
過ごし方
自然のぬる湯、あたたかい内湯、大きな露天風呂を行き来しながら、一日を通して温泉そのものを主役に過ごせます。清掃時間を除いて夜通し入浴できるため、時間帯を変えて訪れるたびに、湯の色合い、光、天候、山の景色の移ろいを楽しめます。
周囲の国立公園では、気軽な散策と四季折々の風景も魅力です。春は新緑と山の花、夏は深い森の緑、秋は谷を彩る赤や黄金の紅葉、冬は雪に包まれ湯けむり立つ露天風呂と、季節ごとに異なる表情を見せてくれます。
泡の湯を拠点に、乗鞍高原や上高地へ足を延ばすこともできます。乗鞍では滝や森林トレイル、高山の景観、山岳ビューポイントを楽しめ、上高地では北アルプスの峰々を望む川沿いの散策路が広がります。
季節運行のバスにより、泡の湯バス停から新島々や周辺の山岳エリア各地へアクセスできます。運行時刻は年間を通じて変わり、特に新緑シーズン以外は変動しやすいため事前確認がおすすめです。
その他の特徴
泡の湯へは、松本インターチェンジから車で約1時間です。白骨温泉へ向かう道路は通年通行可能ですが、冬季は路面の凍結や大雪となることがあります。寒い時期には、スタッドレスタイヤまたはタイヤチェーンのご用意をおすすめします。
泡の湯は中学生以上のお客様よりご宿泊いただけます。小学生以下のお子様はご利用いただけず、これにより静かな入浴と食事の環境が保たれています。
泡の湯の魅力は、天然の炭酸を含む硫黄泉、豊富な湯量、広々とした混浴露天風呂、趣ある内湯、そして名物の温泉粥にあります。ここでは、温泉文化に育まれてきた百年以上の歴史ある旅館で、ゆっくりと湯を味わい、移ろう山の四季を眺めながら、心ほどける時間をお過ごしいただけます。

















