伊豆を訪れたきっかけは偶然でした。東京からふと思い立って出かけたロードトリップが、人生でも指折りの素晴らしい決断になったのです。それ以来、何度も通い続けていますし、これからもきっと変わらないと思います。
そして実際に訪れれば、その理由がきっとわかるはずです。
静岡県の太平洋沿岸に位置する伊豆半島は、日本でも屈指の魅力を誇りながら、まだあまり知られていない特別な旅先です。東京からわずか2時間ほどにもかかわらず、多くの旅行者は京都へ向かう新幹線でそのまま通り過ぎてしまいます。人気の高い箱根と比べると、人混みが少なく、ゆったり過ごせるのも大きな魅力です。
このガイドでは、伊豆で有名な温泉街、半島で楽しみたい見どころ、そしてアクセス方法まで、旅行計画に必要な情報をまとめてご紹介します。

伊豆温泉の魅力
火山活動の恵みを受けた伊豆半島には、塩分や硫酸塩、さまざまなミネラルを豊富に含む温泉が湧き出しています。こうした湯は古くから日本各地で、さまざまな不調を癒やす湯治の湯として親しまれてきました。戦の傷を癒やそうとする武士から、名作を書くために逗留した文豪たちまで、伊豆の癒やしの湯は千年以上にわたり人々を惹きつけてきたのです。
温泉好きにとって、伊豆にはあらゆる楽しみ方があります。風格ある大浴場、海を一望する開放的な露天風呂、客室付きの貸切風呂、混浴、滝のそばで川のせせらぎを聞きながら浸かる湯、そして地元の人が日々通う町の共同浴場までさまざまです。伊豆では外国人観光客をあまり見かけないのですが、それが毎回少し不思議に思えるほど魅力的な場所です。私のお気に入りは、頼朝の湯 本陣の美しい洞窟風呂のように、個性ある設備を備えた旅館です。
伊豆の海岸線や山あいには、温泉地が点在しています。東海岸では、熱海や伊東がアクセスしやすく人気の高いエリアです。半島の中心部にある修善寺や伊豆長岡は、何世紀にもわたり、静かで洗練されたもてなしで旅人を迎えてきました。まさに日本の伝統文化の真髄を感じられる土地です。

修善寺 — 伊豆の心を感じる温泉地
修善寺は伊豆半島で最も古い温泉地で、到着した瞬間にその風格を感じます。半島の中心部、深い森に包まれた川沿いの谷あいに佇み、どこからともなく聞こえる水音、勢いよく流れる川に架かる木橋、頭上で揺れる竹林、そして松や鉱泉の香りが漂う空気が、言葉では表しきれない趣をつくり出しています。「小京都」と呼ばれることもありますが、その呼び名にふさわしい場所です。
町の歴史は1,200年以上前にさかのぼります。伝説によれば、弘法大師が9世紀初頭に修善寺の始まりとなる温泉「独鈷の湯」を見つけたとされています。この湯は川の中央にあり、現在は入浴できませんが、そのそばに立てば、伊豆の温泉文化の原点に触れていることを実感できます。
古くから多くの作家や芸術家がこの地に魅せられてきました。千円札の肖像でも知られる日本を代表する文豪・夏目漱石は、修善寺で大病から回復し、その健康回復を温泉の効能によるものと語ったことで有名です。また、芥川龍之介は新井旅館の部屋から、そこでの入浴を「水族館の中にいるようだ」と表現しました。ガラス越しに鯉がゆったり泳ぐ様子が見えたのです。
修善寺の魅力は、ゆっくりと過ごすほど深まります。夕暮れ時には、川沿いの桂川散策路を歩いてみてください。灯籠に明かりがともり、水面に残照が映る風景は格別です。弘法大師が開いた修禅寺や、その裏手へ続く静かな竹林の小径もぜひ訪れたい場所。ここには、時を超えた伊豆の美しさがあります。
修善寺のおすすめ宿
嵯峨沢館

嵯峨沢館では、狩野川を望む広々とした和室・和洋室に滞在でき、多くの客室には専用露天風呂と周囲の山々を望む眺望が備わっています。特に魅力なのは、自然湧出の温泉を使った7つのお風呂。内湯、露天風呂、大浴場、貸切風呂などがそろい、それぞれ異なる雰囲気の中でゆったりと湯浴みを楽しめます。
ホテルラフォーレ修善寺 山紫水明

山紫水明は、修善寺の森と山々に囲まれた静かな和洋室が魅力の宿です。すべての客室に専用露天温泉風呂が備わっており、棟によって富士山、天城連山、あるいは周囲の木々を望めます。好きな時間にプライベートに湯浴みを楽しめるほか、サウナと山の景色が楽しめる共用の内湯・露天風呂「森の湯」も利用できます。
修善寺で楽しみたいこと
桂川散策路を歩く — 温泉街の中心を流れる川沿いの遊歩道は、石灯籠に明かりがともり、旅館の外観が夕闇の森に浮かび上がる夕暮れ時が特に美しい時間です。歩いて20分ほどの気軽な散策ですが、まるで別の時代に迷い込んだような気分になります。
修禅寺を訪れる — 弘法大師によって開かれたこの寺は、地域でもひときわ趣深い名所です。裏手には、やわらかな光が差し込む竹林へ続く短い小径があります。
竹林の小径を散策する — 修善寺を代表する人気の撮影スポットのひとつで、高く伸びる竹の間を縫うように続く曲線の美しい小道です。寺から川へとつながり、歩いて約15分ほど。訪れるなら早朝がおすすめです。
日帰り温泉を楽しむ — 修善寺の上質な旅館の中には日帰り入浴を受け入れているところも多く、宿泊しなくてもこの町ならではの温泉文化を体験できます。アルカリ性でミネラル豊富な湯は、肌をしっとりとなめらかにしてくれることで知られています。
修善寺まんじゅうを味わう — メインストリートの小さなお店で売られている名物の甘味で、地元ではおなじみの存在です。やわらかく温かく、上品な甘さで、町歩きのお供にぴったりです。
東京から修善寺へのアクセス
最もわかりやすい行き方は、東京駅または品川駅から新幹線で三島駅へ向かい(約45〜55分、約4,500円)、そこから伊豆箱根鉄道に乗り換えて修善寺駅まで約35分(550円)です。伊豆箱根鉄道はジャパン・レール・パスの対象外ですが、新幹線区間は利用できます。
また、東京駅からは特急踊り子の一部列車が修善寺まで直通運転しており、乗り換えなしで約2時間、料金はおよそ4,500円です。なお、ジャパン・レール・パス利用者は三島〜修善寺間に550円の追加料金がかかります。新宿高速バスターミナルから修善寺への直通高速バスもあり、所要時間は約2時間50分、料金は約2,000〜3,500円。乗り換えを避けたい方にとって、快適で手頃な選択肢です。

熱海 — 山と海が出会う温泉地
熱海の魅力
熱海は、急な火山性の斜面を海へ向かって広がる町で、細い路地や瓦屋根、そして町のほとんどの場所から望める相模湾の青いきらめきが、どこか地中海を思わせます。伊豆半島でもっともアクセスしやすい温泉地であり、歴史的にも非常に重要な場所です。
熱海の湯は主に塩化物泉や硫酸塩泉で、体の芯から温まり、湯上がりの肌がしっとり整うような泉質です。その価値は非常に高く、徳川家康がその湯を江戸城まで運ばせたとも伝えられています。将軍がそうするほどですから、名湯であることは間違いありません。
現在の熱海は、昔ながらの日本の温泉リゾートであると同時に、東京から若い世代も訪れるクリエイティブな街へと再生を遂げています。伝統的な旅館と現代アートギャラリーが自然に共存する、意外なほど奥行きのある場所です。
町を見下ろす高台にあるMOA美術館は、日本でも屈指の美術館のひとつで、日本美術や東アジア美術の貴重なコレクションを所蔵し、国宝3点も展示しています。ライトアップされたトンネルやいくつものエスカレーターを通って向かう演出も印象的で、テラスから望む湾の景色も見事です。
熱海では、夏から秋にかけて熱海サンビーチで開催される花火大会も大きな魅力のひとつです。滞在中に日程が合えば、高台の旅館の客室や露天風呂から眺める花火は忘れがたい思い出になります。
おすすめの宿
熱海 せかいえ

熱海 せかいえは、太平洋を望む広々とした客室とスイートを備え、すべての客室に海を見渡す専用露天温泉風呂があります。上質なスーペリアルームから、専用キッチンやシェフサービス、バトラー付きの広々としたペントハウスまで、滞在スタイルも多彩です。館内では、天然温泉の大浴場に加え、ドライサウナとミストサウナも楽しめます。
ホテル夢寿庵

ホテル夢寿庵は、わずか3室のみの隠れ家的な宿で、相模湾と熱海城を一望する広々としたワンフロア貸切スイートを提供しています。各スイートには、天然の弱アルカリ性温泉を引いたオーシャンビューの浴槽があり、好きな時間にプライベートな湯浴みを楽しめます。共用浴場はなく、静かで人目を気にせず過ごせるため、タトゥーのある方にも利用しやすい宿です。
ペンションとどろき

ペンションとどろきは、1日5組限定の静かな高台の宿で、相模湾または周囲の山々を望む快適なツインルームを備えています。露天風呂と2つの内湯は貸切で利用でき、露天風呂では昼は遠くに海を望み、夜は星空の下で穏やかな時間を過ごせます。すべて貸切利用のため、タトゥーのある方も安心して入浴できます。
熱海で楽しみたいこと
MOA美術館を訪れる — ここは少なくとも2時間は見ておきたいスポットです。漆芸、陶磁器、絵画など、質の高い日本美術コレクションがそろい、海を一望する高台に段状に建つ建物自体も訪れる価値があります。
熱海サンビーチを散策する — 駅から徒歩約10分の町のメインビーチで、名物の花火大会の会場でもあります。花火シーズン以外でも、遊歩道から漁船が湾を行き交う景色を眺めるのは心地よいひとときです。
起雲閣を見学する — かつて日本の富裕層に愛された20世紀初頭の別荘で、現在は一般公開されています。和と洋が調和した建築様式は、日本史のある時代を映す興味深い存在です。
オーシャンスパ Fuuaで温泉を楽しむ — 日帰り利用ができるこの温泉施設では、熱海でも屈指の絶景体験が待っています。水平線の海へと湯が溶け込むように見えるインフィニティ立ち湯は、まるで海に浮かんでいるかのような不思議な感覚を味わえます。熱海駅から無料シャトルバスもあり、気軽に訪れやすいのも魅力です。
熱海の商店街を歩く — 駅近くのアーケード商店街には、地元のおやつやお土産、小さなカフェが並び、昭和の面影を色濃く残しています。1時間ほどぶらぶらするのにちょうどよい場所です。
東京から熱海へのアクセス
このリストの中で、熱海はもっとも行きやすい目的地です。東京駅からJR東海道新幹線で40〜50分ほど(約4,000円)、品川駅からなら約35分(やや割安)で到着します。いずれもジャパン・レール・パスの対象です。
東京駅から特急踊り子を利用すると約80分、料金はおよそ3,500円です。できるだけ費用を抑えたい方は、JR東海道線の普通列車で約100分、1,980円で熱海へ行けます。新宿方面からなら、小田急線で小田原まで行き、JRに乗り換えるルートで約1,330円まで抑えられますが、所要時間は2時間を超えます。

伊東 — 暮らしが息づく温泉街
伊東の魅力
伊東は、今も人々の暮らしが自然に息づく場所です。観光客向けに整えられた温泉地とは少し違い、ここには毎日共同浴場に通う住民、夜明けに船を出す漁港、そして訪れる人のためだけに作られたわけではない日常のリズムがあります。
さらに驚くべきことに、伊東は全国でも3番目に湧出量の多い温泉地です。町には10軒の公衆浴場(銭湯)が点在し、その多くは入浴料わずか250円。日本でも屈指のお得な湯めぐりができ、実際にここで暮らす人々と肩を並べて湯に浸かる貴重な体験ができます。
伊東は、日本が外の世界と関わり始めた歴史においても重要な場所です。1600年代初頭、ジェームズ・クラベルの小説Shōgunの主人公のモデルとなったイギリス人航海士ウィリアム・アダムスが、徳川家康の命により、ここで日本初の西洋式船を建造しました。この特別な歴史の一幕は、小さな資料館と記念碑によって今も伝えられています。
市街地の南には、海が火山岩を削り出して海食アーチや潮吹き洞窟を生み出した、日本でも屈指のダイナミックな海岸線、城ヶ崎海岸が広がります。数キロにわたって続く断崖の遊歩道も見応え十分です。その上には、絵画のように美しい左右対称の火山丘、大室山がそびえています。
おすすめの宿
ABBA RESORTS IZU – 坐漁荘

ABBA RESORTS IZU – 坐漁荘は、歴史ある庭園と大きく育った木々に囲まれた、静かな和室やプライベートヴィラが魅力の宿です。客室は畳や自然素材を生かした落ち着いた造りで、専用庭やテラスを備えたタイプもあります。ヴィラはさらに広さとプライベート感があり、ゆったり過ごしたい方にぴったりです。庭園に佇む趣ある露天風呂のほか、ヤマモモの木々や伊豆の海を望む貸切露天風呂も楽しめます。
伊豆ココグランピングリゾート

グランピング伊豆ココでは、相模湾を望むプライベートなベルテントやドームテントをご用意しており、各テントにはベッド、エアコン、Wi-Fi、シャワー、トイレ、専用ウッドデッキが備わっています。広めのテントには、プロジェクター、プレイルーム、ドッグラン、または専用露天風呂などを備えたタイプもあります。さらに、海を望む絶景露天風呂や岩風呂を含む、複数の貸切天然温泉も利用でき、いずれもタトゥーのある方も入浴可能です。
伊東ホテル聚楽

伊東ホテル聚楽では、バルコニー付きの広々とした禁煙客室をご用意しており、雄大な太平洋の景色を楽しめます。客室は、ファミリー向けの複数ベッドルームから、専用露天温泉風呂付きのプレミアムスイートまで幅広く揃っています。館内では、7本の源泉を引く海を望む大浴場のほか、サウナ、打たせ湯、寝湯、水風呂も楽しめます。
伊東で楽しむこと
公衆銭湯に入る — これはぜひ体験したいところ。伊東にある10軒の共同浴場のどこかに立ち寄って、地元の人のように湯に浸かってみてください。お湯は心地よく、人も親切で、250円という料金は日本でも屈指のコストパフォーマンスです。
城ヶ崎海岸トレイルを歩く — 伊東の南に続く海岸沿いの断崖トレイルは、火山岩の景観の中を約9kmにわたって続き、眼下には打ち寄せる波、遠くには伊豆大島まで望めます。門脇崎の吊り橋は、このコースでもっとも迫力ある見どころです。全行程を歩くなら3〜4時間ほど見ておきましょう。
ロープウェイで大室山の火口縁へ — 短いロープウェイで、約4,000年前にできたスコリア丘・大室山の火口縁まで上がれます。お鉢巡りをしながら、伊豆を一望する360度の絶景が楽しめます。冬には火口内が伝統的な山焼き行事の舞台にもなります。
池田20世紀美術館を訪れる — 城ヶ崎海岸の海を望む場所にある、落ち着いた雰囲気の美術館。ピカソ、ダリ、シャガール、マティスらの作品を収蔵しており、半島の静かな一角にあるとは思えないほど充実したコレクションが魅力です。
東海館を見学する — 1928年築の歴史ある温泉旅館で、現在は宿泊営業を行っていませんが、週末や祝日にはその由緒ある浴場を一般公開しています。木造の廊下を歩けば、時代をさかのぼるような気分を味わえます。
東京から伊東へのアクセス
東京駅からは特急「踊り子」または「サフィール踊り子」で伊東まで乗り換えなしで約100分、料金はおよそ4,000円です。もっとも快適でわかりやすい移動方法です。ジャパン・レール・パスでも全区間利用できます。
別の行き方としては、新幹線で熱海へ向かい(東京から40〜50分、品川から約35分)、そこからJR伊東線に乗り換えて伊東まで約25分(約330円)です。新宿からは特急「踊り子」も1日数本出ており、乗り換えなしで行けるもっとも簡単な選択肢です。

下田 — 歴史とビーチ、そして終着の町
この町の魅力
下田は伊豆半島の最南端にあり、そこへ向かう道のりそのものが旅らしさを感じさせてくれます。到着する頃には景色は大きく変わり、海岸線はより荒々しく、時間の流れはゆるやかで、光の雰囲気まで半島のほかのエリアとはどこか異なって感じられます。ここには、もっとも本質的な伊豆の姿があります。
この町は、並外れた歴史の重みを宿しています。1854年、マシュー・ペリー提督率いる「黒船」が下田湾に投錨し、日本の長い鎖国を終わらせ、世界へと開くきっかけとなった日米和親条約がこの地で結ばれました。この小さな港町で起きた出来事の影響は、まさに世界史的でした。アメリカ使節団がかつて歩いた、柳並木の運河沿いの通り「ペリーロード」を歩くと、その後に続いた大きな変化に思いを馳せ、静かな感慨に包まれます。
町のビーチは、日本屈指といっても過言ではありません。中心部からバスで少しの白浜海岸は、真っ白な砂浜と鮮やかな青い海が広がる見事な弓形のビーチで、思わず息をのむ美しさです。多々戸浜や吉佐美大浜も同様に美しく、しかも比較的人が少なめです。
下田の温泉は、主にやわらかな単純泉。ミネラル分は控えめですが、長湯にぴったりのやさしい湯ざわりが魅力です。
おすすめの宿
里山の別邸 下田セントラルホテル

里山の別邸 下田セントラルホテルは、のどかな里山の環境に佇む宿で、和室・洋室・和洋室の広々とした客室を備えています。一部の客室には専用露天風呂付き。館内では、天然温泉を引いた大浴場や露天風呂のほか、プライバシーを重視したい方にうれしい貸切風呂も利用でき、タトゥーのある方にも配慮されています。
ホテル伊豆急

ホテル伊豆急は、太平洋に面した広々とした和室・洋室を備え、白浜海岸までは徒歩すぐの好立地です。館内では、2種類の源泉を楽しめる大浴場やジェットバス、潮風が心地よい露天風呂があり、さらにプライバシーを重視したい方には貸切風呂も用意されています。タトゥーのある方にも利用しやすい宿です。
ホテル山田屋

ホテル山田屋は、畳敷きの伝統的な和室24室を備え、下田湾を見渡す開放的な眺望が魅力です。特に夕景は格別。館内では、天然のアルカリ性温泉を楽しめる内湯や湾を望む露天風呂のほか、静かに過ごしたい方には無料で利用できる貸切檜風呂もあり、タトゥーのある方にも利用しやすい環境です。
下田で楽しむこと
ペリーロードを歩く — 歴史の舞台となった、運河沿いの短く風情ある通りです。小さなカフェやブティック、そして了仙寺(日米和親条約が結ばれた場所)があり、気軽に歩けて満足度の高い半日散策コースです。
白浜海岸で泳ぐ — 白い砂浜と驚くほど透明な海が広がる、日本屈指の美しいビーチです。遊泳シーズンは7〜8月ですが、海岸自体は一年を通して訪れる価値があります。
石廊崎を訪れる — 伊豆半島最南端の石廊崎は、冬には野水仙が咲く荒々しい断崖の岬で、一年を通して迫力ある海景色を楽しめます。岬から出る遊覧船では、海岸線の海食洞を巡ることができます。
伊豆急下田ロープウェイに乗る — 寝姿山の山頂までは短いロープウェイの旅。下田の町と湾を見渡すパノラマが広がります。気軽に楽しめて、とても美しい景色です。
黒船祭を楽しむ(5月に訪れるなら) — 毎年5月にペリー来航を記念して開催される祭りで、半島内でも特ににぎやかなローカルイベントのひとつです。パレードや伝統芸能が行われ、町全体がお祝いムードに包まれます。
東京から下田へのアクセス
東京駅からは特急「踊り子」で伊豆急下田駅まで乗り換えなしで約2時間30分、料金はおよそ6,500円です。より上質な移動を求めるなら、全車グリーン車・要事前予約の「サフィール踊り子」も利用できますが、その分料金は高めです。
なお、伊東〜下田間は私鉄の伊豆急行線を利用するため、ジャパン・レール・パス利用者はこの区間に2,660円の追加料金がかかります。例外として、JR東京ワイドパス(3日間15,000円)なら下田まで追加料金なしで全区間カバーされるため、半島を数日かけて巡る旅には非常にお得です。品川からも同じ「踊り子」が出ており、東京駅から乗るより少し時間を短縮できます。

伊豆長岡温泉 — 半島の中心にある、控えめで上質な温泉地
この町の魅力
伊豆長岡温泉は、半島の地理的中心にあたる伊豆の国盆地に位置し、伊豆の温泉地の中でも独特の存在感を放っています。熱海ほど有名ではなく、修善寺ほど観光客でにぎわうわけでもありません。しかし、だからこそ、半島内でゆっくり一泊する場所として非常に満足度の高い温泉地です。
この町は何世紀にもわたり旅人の重要な立ち寄り地であり、北海岸の玄関口とより自然豊かな南部を結ぶ場所として発展してきました。そこで育まれた旅館のおもてなし文化は、控えめながら実に見事です。ここの温泉は塩化物泉で、体の芯から温まり、肌をしっとり整えてくれます。町の湯処は全体的にゆったりとしていて、せかされることのない贅沢さがあります。
伊豆長岡からの眺めは、伊豆でも屈指の美しさです。晴れた日には、北の丘陵の向こうに富士山が姿を現し、まさに日本の原風景と呼びたくなる景色が広がります。思わず見とれてしまうような光景です。黄金崎公園や町を見下ろす高台からは、広重の浮世絵のように風景の上に浮かぶ富士山を望めます。
2025年にオープンしたばかりのAOテラスも見逃せません。ロープウェイで山頂まで上がると、富士山を望むラウンジ、抹茶スイーツ、プライベートガゼボ、森の散策路などを楽しめます。
また、伊豆長岡は修善寺観光の拠点としても最適で、修善寺温泉街へはバスでわずか10分ほど。伊豆長岡を拠点に日中は各地を巡り、夕方には宿に戻って温泉と静かな夕食を楽しむ、という過ごし方をする人も多くいます。
おすすめの宿
頼朝の湯 本陣

頼朝の湯 本陣は、源氏山と竹に覆われた斜面を望む、全15室の落ち着いた歴史ある旅館です。伝統的な畳敷きの客室に加え、館内では岩風呂、檜風呂、洞窟風呂、露天風呂という個性豊かな4つの温泉を楽しめます。洞窟風呂と露天風呂は追加料金なしで貸切利用が可能で、カップルや家族連れ、タトゥーのある方にも利用しやすい環境です。
富岳はなぶさ

この川沿いの旅館では、狩野川と富士山を望む広々とした和室・和洋室をご用意しています。多くの客室には源泉かけ流しの露天風呂または半露天風呂が備わり、そのほかの宿泊者も大浴場や無料の貸切露天風呂3か所を利用できます。やわらかなアルカリ性の湯と見事な山の眺めが、静かでプライベート感のある温泉時間を演出します。
KONA STAY 伊豆長岡

KONA STAY 伊豆長岡は、快適なベッドを備えたくつろげる和洋室タイプの個室に加え、グループや予算を抑えたい旅行者向けのドミトリーも用意しています。館内では源泉を使用したアルカリ性温泉を、朝夕で男女入れ替え制となる2つの共用浴場で楽しめます。タトゥーは、ファンデーションテープなどで完全に隠せる場合に限り利用可能です。
伊豆長岡で楽しむこと
葛城山に登って富士山を眺める — ロープウェイで展望スポットまで上がると、晴れた朝には周囲の丘の向こうに富士山が美しく姿を現します。伊豆半島からアクセスしやすい富士山ビューの中でも、とりわけ見事なひとつです。
修善寺へ日帰りで出かける — 伊豆長岡から修善寺温泉街まではバスまたはタクシーでわずか10分。川沿いの遊歩道を歩き、お寺を訪ね、竹林を散策し、夕方には旅館へ戻る。理想的な一日の過ごし方です。
韮山反射炉を訪れる — ユネスコ世界遺産に登録されたこの19世紀の製鉄炉は、西洋列強の到来を前に日本が軍備近代化を急いでいた1850年代に築かれました。静かな川辺に残る、貴重な産業遺産です。
温泉にじっくり浸かる — 伊豆長岡を訪れる最大の目的は、やはりこれでしょう。ここの塩化物泉は、半島内でも特に回復感の高い湯として知られています。時間を気にせず、ゆっくり楽しんでください。
伊豆の国パノラマパークを散策する — ロープウェイで葛城山山頂へ上がり、園内のなだらかな散策路を歩けば、伊豆中央部の盆地を一望する景色が広がります。
東京から伊豆長岡へのアクセス
東京駅または品川駅から東海道新幹線で三島へ(約45〜55分、約4,500円)、そこから伊豆箱根鉄道に乗り換えて伊豆長岡駅まで約20分(430円)です。伊豆箱根鉄道の区間はジャパン・レール・パスの対象外ですが、新幹線区間は利用できます。
別の方法として、東京駅からは特急「踊り子」で修善寺まで直通列車もあり(同じ伊豆箱根鉄道線を利用)、伊豆長岡はその一駅手前です。東京からの所要時間は合計約2時間、料金はおよそ4,500円。新宿からも同じ「踊り子」が1日数本運行しており、所要時間もほぼ同じです。
出発前に知っておきたいポイント
できればレンタカーを — 伊豆の公共交通機関は便利ですが、熱海や三島でレンタカーを借りると、西海岸や山道、エリア間の移動までぐっと自由になります。鉄道だけでは行きづらい場所にも足を延ばしやすくなります。
旅館は早めに予約を — 人気旅館の良い部屋は数週間前には埋まってしまうことが多く、特に週末や桜の季節(河津は2〜3月、その他の地域は3月下旬〜4月上旬)は早めの予約がおすすめです。
温泉マナー — 伝統的な温泉ではタトゥー不可の場合が多いため、事前にルールを確認しておきましょう。入浴前には必ずしっかり体を洗い、タオルを湯船につけないのが基本です。多くの旅館では館内着として浴衣が用意されており、これも旅の楽しみのひとつです。
できれば2泊以上で — 伊豆で1泊でも十分楽しめますが、1つのエリアに2泊する、あるいは異なる町に1泊ずつすることで、半島の魅力がぐっと深く感じられるようになります。
伊豆には、不思議と心をつかまれる魅力があります。週末だけのつもりで訪れても、帰る前からまた次の旅を考えてしまう——そんな場所です。私自身、いまではほぼ毎月のように通っていますが、それでもなお新しい魅力に驚かされ続けています。
